フライトプラン(飛行計画)の書き方
フライトプラン(飛行計画)は、「どの機体が、いつ、どこから、どの経路と高度で、どこへ飛ぶのか」を出発前に国(空港事務所などの航空交通業務機関)へ知らせる書類です。航空法第97条により、IFR では通報して承認を受けること、VFR でも原則として通報することが義務づけられています。
フライトプランは管制や飛行情報業務の基礎になるだけでなく、到着予定を過ぎても機体が着かないときに捜索範囲を絞る手がかりにもなります。燃料の持久時間や搭乗者数、救命用具の有無まで細かく記入するのはそのためです。
この記事では、国土交通省航空局の AIP(航空路誌)ENR 1.10「飛行計画」の記入要領に沿って、飛行計画書の各項目の書き方を、岡山(RJOB)から高松(RJOT)への VFR と、同じ区間の IFR の2つの見本を使って順に解説します。日本で使う飛行計画書の様式は ICAO の様式に合わせたもので、AIP ENR 1.10 の「別図2」に載っています。見本はこの様式にそのまま書き込んで作りました。執筆にあたって確認したのは 2026年9月3日版の AIP であり、最新版ではありません。実際に提出するときは、必ず最新版の AIP を確認してください。
いつ・どこへ・どうやって出すか
出す先と方法
飛行計画の通報先は空港事務所(「空港事務所又は空港出張所において飛行計画の通報等に関する事務を行う時間を定める告示」で定められた事務所)です(AIP ENR 1.10 1.1.1)。このうち東京空港事務所と関西空港事務所は FAIB(Flight and Airport Information BASE:運航拠点)として飛行計画の受付や運航情報の提供を担っており、各種の問い合わせに24時間対応しています。
通報の手段は口頭(無線電話を含む)または文書が基本ですが(同 1.1.2)、利用者登録を済ませておけば SWIM の「フライトプラン登録サービス」を使ってインターネットから提出することもできます(同 1.1.2 注3)。
なお、長年使われてきたインターネット上の「SAT サービス」(インターネットによる飛行計画等の取扱いサービス)は、航空局のお知らせにあるとおり 2026年9月30日で終了し、2026年3月24日開始の SWIM「フライトプラン登録サービス」へ移行しました。古い資料や手元の AIP に SAT サービスの案内が残っている場合があるため気をつけてください。
出す時期
提出のタイミングについては、AIP ENR 1.10 1.1.1 で次のように定められています。
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| いちばん早い時期 | 移動開始時刻(EOBT)の 120時間より前には出さない |
| IFR | 少なくとも EOBT の30分前まで。航空交通流管理の効果のため、2時間前までに出すのが望ましい |
| 福岡 FIR の外へ出る場合 | 相手の FIR の当局が求める時刻までに届くように |
| 出さなくてよい場合 | VFR で、出発地から半径 9km 以内だけを飛び、その範囲内に着陸する場合 |
| 離陸後に出してよい場合 | VFR で、捜索・救難のため出発前に出す暇がない場合や、場外離着陸場から出発して通報の手段がない場合は、離陸後に出発地から半径 9km 以内で速やかに通報する |
ここで基準になる「移動開始時刻(EOBT)」は、出発のために航空機が動き始める予定時刻のことで、離陸予定時刻ではありません。
書くときの共通の決まり
用紙への記入ルールも AIP ENR 1.10 1.2.1 にまとめられています。文字は原則として英語を用い、英字は活字体の大文字、数字はアラビア数字で、指定がある場合を除き所定の欄にすき間をあけずに詰めて書きます。時刻はすべて UTC の時・分4桁(例:0100)で統一します。また、飛行計画は「離陸から着陸まで」の1飛行ごとに1枚が原則なので、続けて複数回飛ぶ場合も1回ずつ分けて提出します。用紙の「FILED BY」欄には提出者の名前を記入します。

出確くんのひとこと
日本時間から9時間引くと UTC だよ。朝9時より前の出発だと、UTC では「前の日」になるから、日付を書く欄(第18項の DOF/)は特に気をつけてね。
見本の飛行計画書(VFR と IFR)
VFR の見本:岡山 → 高松
全体のイメージをつかむため、架空の機体(セスナ 172、登録記号 JAXXXX、機長名も架空)による自家用飛行として、岡山空港から高松空港へ VFR で飛ぶ場合の見本を、AIP の様式に書き込んで用意しました。

この見本では、2026年11月5日の日本時間 10時00分(UTC では 5日 0100)に移動を開始し、岡山空港から位置通報点の OKAYAMA、TAKAMATSU を経由して高松空港へ向かう計画としています。巡航は真対気速度 110kt・高度 3,500ft、燃料の持久時間は 4時間、搭乗者は 2名という想定です。
経路に入れている OKAYAMA と TAKAMATSU は、AIP の AD 2.24「Visual REP」(VFR の位置通報点の図)に掲載されている地点です。OKAYAMA は JR 岡山駅(岡山空港の標点から真方位150°・6.2NM)、TAKAMATSU は高松港(高松空港の標点から真方位012°・8.9NM)にあたります。高松空港の Visual REP 図には、北から進入する VFR 機は TAKAMATSU 上空で管制塔に連絡するよう注記があるため、それに沿った経路を組んでいます。
IFR の見本:同じ区間を IFR で
IFR でも記入する項目の構成は変わりません。同じ区間を、吉備 VOR/DME(OYE)と香川 VOR/DME(KTE)を結んで IFR で飛ぶ場合の見本です。VFR の見本と違うのは、第8項の飛行方式(I)、第10項の装備(SD)、第15項の高度と経路、第16項の所要時間と代替飛行場です。

同じ内容を飛行計画の電文(メッセージ)の形で表すと、次のようになります。
(FPL-JAXXXX-IG
-C172/L-SD/C
-RJOB0100
-N0110A050 DCT OYE DCT KTE DCT
-RJOT0035 RJOB
-DOF/261105 RMK/MSN=PO PRIVATE FLIGHT)
1行目が第7項(航空機識別)と第8項(I=IFR、G=一般航空)、2行目が第9項(型式 C172、後方乱気流区分 L)と第10項(標準装備 S に加えて D=DME、監視装置は C)です。3行目に第13項(出発飛行場と移動開始時刻)、4行目に第15項(110kt、高度 5,000ft、経路)、5行目に第16項(目的飛行場、所要時間 0035、代替飛行場としての岡山 RJOB)、そして6行目に第18項(その他の情報)が入ります。なお、第19項(補足情報)は電文には含まれず、用紙の下部欄にだけ記入します。
経路の OYE は吉備 VOR/DME、KTE は香川 VOR/DME です。AIP ENR 3.5「直行経路」に OYE–KTE 間の直行経路(OYE から磁方位172°、34NM、最低経路高度 5,000ft)が設定されており、巡航高度の 5,000ft は、この最低経路高度と ENR 1.1 の巡航高度表(000°〜179°の方向へ飛ぶ IFR 機は 1,000ft の奇数倍)に合わせて選んでいます。
もっとも、この例は項目の書き方を示すための簡略なものです。実運航では岡山空港の出発方式(SID)や高松空港の到着方式(STAR)、管制指示などが関わるため、実際の経路と高度は最新の AIP(ENR 3 の経路、AD 2 の各空港の方式)および運航者の手順で確認してください。
項目ごとの書き方
ここからは、AIP ENR 1.10 1.2.2 に基づいて各項目を番号順に見ていきます。
第7項 航空機識別(AIRCRAFT IDENTIFICATION)
ハイフン「-」やスラッシュ「/」などの記号は入れず、7文字以内の英数字で記入します。無線通信での呼び出し方に応じて、次の4通りのいずれかで書きます。
無線で登録記号のみを呼出符号にする場合や、「運航者の無線呼称+登録記号」で呼ぶ場合、あるいは無線機がない(使えない)場合は、国籍記号と登録記号を続けて書きます(例:JAXXXX)。無線で「運航者の呼称+便名」を使う場合は運航者の ICAO 3文字略号+便名、「運航者の呼称+登録記号」を使う場合は運航者の ICAO 3文字略号+登録記号とすることもできます。これらに当てはまらない場合は無線呼出符号をそのまま書きますが、7文字を超えるときは7文字以内に省略して記入し、第18項の RMK/ に「CALL=」に続けて省略前の呼出符号を明記します。
なお AIP の注では、定期便は原則として ICAO 3文字略号と便名などの組み合わせを使うこと、反対に運送を行わない航空機が訓練・試験・調査飛行をする際は ICAO 3文字略号と便名の組み合わせを使わないことが示されています。日本の運航者の略号は ENR 1.10 の別表1で確認できます。
第8項 飛行方式と飛行の種類(FLIGHT RULES / TYPE OF FLIGHT)
飛行方式は次の4種類から選びます。Y または Z を選んだ場合は、第15項の経路欄で飛行方式を切り替える地点を明示します。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| I | 全部を IFR で飛ぶ |
| V | 全部を VFR で飛ぶ |
| Y | IFR で出発し、途中で1回以上飛行方式を変える |
| Z | VFR で出発し、途中で1回以上飛行方式を変える |
続く飛行の種類は、S(定期の航空運送事業。臨時便を含む)、N(定期以外の航空運送事業)、G(航空機使用事業、訓練飛行、試験飛行、空輸、自家用など)、M(軍用機)、X(それ以外)の5区分です。N・G・X(および S の臨時便)を選んだときは、第18項に飛行の目的(後述の MSN=)を書く決まりになっています。
第9項 機数・型式・後方乱気流区分(NUMBER / TYPE OF AIRCRAFT / WAKE TURBULENCE CAT.)
機数は2機以上の編隊飛行などのときだけ記入し、1機なら空欄のままにします。型式には ICAO Doc 8643 で定められた型式略号(例:セスナ 172 は C172)を使います。型式略号がない機体や、異なる型式で編隊を組む場合は「ZZZZ」と記入し、第18項の「TYP/」に機数と型式を書き添えます。その後ろにスラッシュを入れ、後方乱気流区分を次の1文字で記します。
| 記号 | 区分 |
|---|---|
| J | SUPER(Doc 8643 で指定された型式) |
| H | HEAVY(最大離陸重量 136,000kg 以上。J を除く) |
| M | MEDIUM(7,000kg を超え 136,000kg 未満) |
| L | LIGHT(7,000kg 以下) |
第10項 装備(EQUIPMENT)
スラッシュの前(10a)に無線通信・航法・進入援助の装備、後ろ(10b)に監視装置(トランスポンダーなど)を書きます。
10a は、まず S または N から書き始めます。AIP の日本語定義では、S は「航空法の規定により装備が義務づけられている使用可能な無線設備を装備している場合」、N はその一部または全部を装備していない場合です。S を書いた後ろに、搭載していて使用可能な装備の記号を続けます。代表的な記号は次のとおりです。
| 記号 | 装備 | 記号 | 装備 |
|---|---|---|---|
| D | DME | L | ILS |
| F | ADF | O | VOR |
| G | GNSS | R | PBN 航行の許可 |
| I | 慣性航法装置 | V | VHF 無線電話 |
| W | RVSM 航行の許可 | Z | その他の装備・能力 |
選んだ記号によっては第18項への追記が必要になり、G なら NAV/ に GNSS の補強の種類(ある場合)、R なら PBN/ に RNAV・RNP の種類、Z なら COM/・NAV/・DAT/ に該当する装備を記入します。
10b は、監視装置がなければ N、トランスポンダーのモード A(4096コード)のみなら A、モード A とモード C があれば C を書きます。モード S は機能に応じて E・H・I・L・P・S・X のいずれかを選びます(たとえば S は航空機識別と気圧高度の送信機能を持つモード S です)。ADS-B は B1・B2 など、ADS-C は D1・G1 を使います。
見本では 10a を「S」、10b を「C」としていますが、実際に飛ぶ機体の装備と運航上の許可に合わせて記入してください。
第13項 出発飛行場と時刻(DEPARTURE AERODROME / TIME)
出発飛行場の ICAO 4文字地点略号(例:RJOB)に続け、すき間をあけずに移動開始時刻(EOBT)を UTC の4桁で書きます。見本の「RJOB0100」は、岡山空港で UTC 01時00分(日本時間 10時00分)に移動を開始するという意味です。
地点略号のない場外離着陸場などから出発する場合は「ZZZZ」とし、第18項の DEP/ に出発地を記載します。AIP ではその書式を「出発地を管轄する空港事務所の ICAO 3文字略号、ピリオド、場所を表す名称」の順と定めており、名称の代わりに緯度・経度や既知の地点からの方位・距離で示すことも認められています。
第15項 巡航速度・巡航高度・経路(CRUISING SPEED / LEVEL / ROUTE)
最初に巡航速度と巡航高度をすき間をあけずに続けて書き、1字あけてから経路を記入します。
巡航速度は真対気速度で表し、ノットなら「N」+4桁(110kt → N0110)、マッハ数なら「M」+3桁を使います。km/h を示す「K」は福岡 FIR では使いません。
巡航高度は、フライトレベルなら「F」+3桁(FL150 → F150)、高度なら 100ft 単位で「A」+3桁(3,500ft → A035、5,000ft → A050)と書きます。メートル単位の「S」「M」は福岡 FIR では使用せず、特定の巡航高度を決めない VFR 飛行では「VFR」と記入します。
高度の選び方は ENR 1.1 の表に従います。地表または水面から 3,000ft(IFR は 1,000ft)以上で巡航する場合、14,000ft 未満では、000°〜179°の方向なら IFR が 1,000ft の奇数倍、VFR が奇数倍+500ft、180°〜359°の方向なら IFR が偶数倍、VFR が偶数倍+500ft です。見本の VFR は南向き(000°〜179°側)にあたるため 3,500ft としています。
経路には、飛行順に表示すべき地点を並べていきます。対象になるのは、ATS 経路(航空路など)への出入地点や乗り換え地点、速度(真対気速度で5%以上)・高度・飛行方式を変える地点、ATS 経路外を飛ぶ場合の原則30分または200NMを超えない間隔の地点、そして訓練や試験を行う民間訓練試験空域(空域名を記入)です。
地点の表記は、AIP などでコードや名称が定められていればそれを使い、ない場合は緯度・経度(例:4桁+N、5桁+E)または基準地点からの磁方位(3桁)+距離(3桁、NM)で書きます。VFR に限り、有名な都市・湖・山などの名称や、その名称に真方位(3桁)と距離(3桁、NM)を続けた表記も使えますが、VFR の場合は方位が「真方位」になる点に注意が必要です。
地点と地点の間は、ATS 経路を飛ぶ区間はその経路記号、それ以外は「DCT」で結び、記号と地点の前後は1字ずつあけます。ただし国内の飛行では、ATS 経路以外の区間の「DCT」は省略可能です(ENR 1.10 1.2.2 (6) 3) D))。見本では基本の形が分かりやすいよう DCT を入れています。なお、途中で速度や高度を変えるときは「地点/N0120A055」のようにスラッシュに続けて新しい速度と高度を両方書き(片方だけの変更でも両方記入)、飛行方式を変えるときは地点の後ろに1字あけて「VFR」または「IFR」と記します。
第16項 目的飛行場・所要時間・代替飛行場(DESTINATION / TOTAL EET / ALTN)
目的飛行場の4文字地点略号に続け、すき間をあけずに所要時間(EET)を時・分の4桁で書きます。地点略号がない目的地なら「ZZZZ」とし、第18項の DEST/ に場所を記載します。
所要時間は、AIP 上離陸してから到着予定時刻までの時間と定義されています(ENR 1.10 1.1.3 の注)。この到着予定時刻が指す地点は飛行方式で異なり、VFR では目的飛行場の上空に達する見込み時刻、IFR では計器進入方式を開始する地点(無線施設を基準に定められた地点。該当する無線施設がない飛行場では飛行場上空)に達する見込み時刻となります。
代替飛行場は矢印の後ろに1字あけて最大2つまで記入できますが、AIP ENR 1.10 1.1.3 によりVFR では代替飛行場の記載は求められていません(IFR で代替飛行場を指定しない場合なども同様です)。そのため見本の VFR では空欄、IFR の見本では岡山(RJOB)を入れています。地点略号のない代替地を指定する場合は「ZZZZ」と書き、第18項の ALTN/ に記載します。
第18項 その他の情報(OTHER INFORMATION)
特記事項が何もない場合は「0(ゼロ)」を1文字だけ書きます。記入事項がある場合は、定められた記号にスラッシュを付け、次の順序に従って並べます。「-」と「/」は規定の書式以外では使えません。
| 記号 | 書くこと |
|---|---|
| STS/ | 特別な取り扱いの理由(HOSP、MEDEVAC、SAR、NONRVSM など) |
| PBN/ | RNAV・RNP の能力(第10項に R を書いたとき。8項目・16文字まで) |
| NAV/ | PBN/ 以外の航法装置、GNSS の補強など |
| COM/・DAT/・SUR/ | 第10項に書けなかった通信・データリンク・監視の装置 |
| DEP/・DEST/ | 第13項・第16項(目的飛行場)に ZZZZ を書いたときの場所 |
| DOF/ | 出発日(年の下2桁・月・日の6桁。例:261105) |
| REG/ | 第7項と違う場合の登録記号 |
| EET/ | 地点や FIR 境界までの経過時間(求められた場合) |
| SEL/ | SELCAL コード |
| TYP/ | 第9項に ZZZZ を書いたときの型式 |
| OPR/ | 第7項と違う場合の運航者 |
| ORGN/ | 発信者がすぐ分からない場合の連絡先 |
| ALTN/ | 第16項の代替飛行場に ZZZZ を書いたときの場所 |
| RALT/・TALT/ | 途中経路の代替飛行場・離陸代替飛行場 |
| RMK/ | 飛行目的やその他の事項(下で説明) |
このほか国際様式には CODE/・DLE/・PER/・RIF/ もありますが、AIP の注により福岡 FIR では適用されません。また DOF/ に関連して、AIP ENR 1.11 では EOBT の遅れが 0000(UTC)をまたぐ場合は遅延通報ではなく変更通報で扱うことになっており、飛行日の区切りもすべて UTC 基準であることが分かります。
末尾の RMK/ には日本独自の記載ルールがあり、複数並べる場合は1字ずつあけて記入します。なかでも書く機会が多いのが、第8項の飛行の種類で N・G・X(および S の臨時便)を選んだときに必須となる飛行目的の MSN= です。これには別表2の略号を使います。
| 区分 | 略号 |
|---|---|
| 定期の航空運送事業 | SI(国際線)、XI(国際線の臨時便)、SD(国内線)、XD(国内線の臨時便) |
| 定期以外の航空運送事業 | NI(国際線)、ND(国内線)、NR(周回) |
| 使用事業 | CM |
| その他 | PT(試験飛行)、PF(空輸)、PG(公用)、PO(その他) |
CM・PG・PO を使うときは、略号の後ろに1字あけて具体的な目的を書き添えます。見本の「MSN=PO PRIVATE FLIGHT」は、「その他(自家用の飛行)」を表す書き方です。
RMK/ にはこのほかにも定型の表記があります。第7項で呼出符号を7文字以内に縮めた場合の元の呼出符号を示す「CALL=」、VFR で経路上の位置通報予定地点を示す「NOTE=REP=」、地上から到着通知を出しにくい場外離着陸場を使う際に上空から広域対空援助業務の機関経由で通知する予定(呼出名称と周波数)を書く「NOTE=CLS=」および「NOTE=CTC=」などです。さらに、1通の飛行計画のなかで出発地や目的地にていったん停止・再離陸(フルストップ)を行う場合の回数(2桁)と飛行場4文字略号を示す「FS」、VFR で TCA アドバイザリーを求める場合の飛行場4文字略号(通過・到着側の TCA なら進入予定時刻も併記)を書く「TCA=」、管制区管制所と事前調整済みの測量・調査といった管制区内での特殊な VFR 飛行を示す「VFR=P」もここに記入します。
第19項 補足情報(SUPPLEMENTARY INFORMATION)
第19項は電文としては送信されず、提出先の用紙に控えとして残る情報で、万一の捜索・救難に直接関わる項目が並んでいます。該当する数値を書き込むか、搭載していない装備の記号を「×」で消して仕上げます。
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| E/(燃料搭載量) | 燃料で飛べる時間を4桁の時間で(4時間 → 0400)。量(リットルなど)ではない |
| P/(搭乗者数) | 乗る人の合計(乗客と乗員)。提出時に分からなければ「TBN」 |
| R/(救命無線機等) | 243.0MHz の UHF が使えなければ U、121.5MHz の VHF が使えなければ V、ELT が使えなければ E を消す |
| S/(救急用具) | 何も積んでいなければ全部消す。極地用 P・砂漠用 D・海上用 M・密林用 J のうち、積んでいないものを消す |
| J/(救命胴衣) | 積んでいなければ全部消す。灯火付きでなければ L、蛍光染料付きでなければ F、無線機付きでなければ U・V を消す |
| D/(救命ボート) | 積んでいなければ D と C を消す。積んでいれば数、全収容人数、色を書き、カバーがなければ C を消す |
| A/(色とマーキング) | 機体の色と主なマーキング |
| N/(備考) | ほかの救急用具や特記事項。なければ N を消す |
| C/(機長) | 機長の氏名 |
見本では、UHF の救命無線機なし(U を消す)、救急用具なし(すべて消す)、灯火付きの救命胴衣を搭載(L だけ残す)、救命ボートなし(D と C を消す)という装備状況を想定しています。
出したあと:変更・取り消し・到着の通知
変更・遅れ・取り消し
提出後に飛行計画の内容を変えるときは、航空機の無線呼出符号と変更箇所を航空交通業務機関へ連絡します(AIP ENR 1.10 3.1)。関係機関の間で送られる電文としては、移動開始時刻(EOBT)から30分を超えて出発が遅れる場合の「遅延通報(DLA)」、計画内容を変える「変更通報(CHG)」、飛行を取りやめる「取り消し通報(CNL)」が定められています(AIP ENR 1.11)。
予定どおりに出発できなくなったときやフライトを中止したときは、そのまま放置せず、必ず提出先へ一報を入れます。また IFR で EOBT を変更する場合は、新しい EOBT を関係機関へ通報する決まりです(ENR 1.9。ただし航空交通管理センターから指定された EDCT に従う場合は変更の手続きは不要です)。
到着の通知
飛行計画を出して飛んだ機長には、飛行を終えたら遅滞なく到着の通知を行う義務があります(航空法第98条)。通知する内容は、無線呼出符号、出発地、到着(着陸)時刻、到着(着陸)地の4点です(AIP ENR 1.10 3.2)。
この連絡が入らないと、関係機関は機体が無事に着陸したことを確認できません。無事に降りた安心感から抜け落ちやすい手続きでもあるため、着陸後のチェックリストや手順にしっかり組み込んでおくのが確実です。どの機関へどの方法で連絡するかは着陸地によって異なるので、出発前に確認しておきます。地上から連絡手段を確保しにくい場外離着陸場へ降りる場合は、前述のとおり第18項に NOTE=CLS=・NOTE=CTC= を記入し、上空から通知する予定をあらかじめ伝えておく方法があります。

出確くんのひとこと
フライトプランは「出したら終わり」じゃなくて、「着いたと知らせて終わり」。到着の通知まで、1回のフライトだよ。
よくある間違い
実務でつまずきやすいポイントを振り返っておきます。まず多いのが時刻と日付の取り違えです。第13項をはじめ時刻はすべて UTC(日本時間マイナス9時間)で書きます。METAR や TAF の時刻(末尾の Z)も UTC なので、気象資料を見るときから UTC に頭を切り替えておくと混乱を防げます。特に日本時間の 0時〜8時59分の出発は UTC では前日になるため、DOF/ の日付ずれに注意が必要です。また、第13項は離陸予定時刻ではなく移動開始時刻(EOBT)を書く欄である一方、第16項の所要時間(EET)は移動開始からではなく「離陸から到着予定時刻(VFR は目的飛行場上空、IFR は計器進入開始地点)まで」で数える点も混同しやすいところです。
書式や桁数のミスもよく見られます。第7項の航空機識別は「JA-XXXX」のようにハイフンを入れず7文字以内で詰めて書き、第15項の速度・高度は「N110」や「A3500」ではなく、110kt なら4桁の「N0110」、3,500ft なら 100ft 単位3桁の「A035」(フライトレベルは「F」)とします。第18項は書くことがなくても空欄にせず「0」を入れ、飛行の種類が N・G・X(および S の臨時便)なら RMK/ の「MSN=」を忘れないようにします。第19項の燃料(E/)も、リットルなどの搭載量ではなく持久時間を4桁で記入します。
手続き面では、EOBT の120時間より前には提出できないこと、IFR は遅くとも30分前(望ましくは2時間前)までに出すこと、そして着陸後は遅滞なく到着通知を行うことが基本です。SAT サービスの終了と SWIM への移行のように提出方法や AIP の規定は随時改正されるため、昔のやり方のまま出そうとせず、提出前に最新の AIP と手続きを確かめる習慣をつけておくと間違いがありません。
出確くんで見るには
出確くんはフライトプランの作成や提出を行うサイトではありませんが、記入にあたって確認したい情報を調べるのに役立ちます。
「ウェザーブリーフィング」は、出発空港・経路(経由地)・到着空港・ダイバート空港を入力して作成します(どれか1つだけでも作成可能です)。経由地には地名のほか、VOR などの IFR の地点(例:OYE)や VFR の位置通報点(英字で入力。例:TAKAMATSU)も指定できるため、フライトプランの第13・15・16項に書く予定の地点をそのまま並べて確認できます。なお、飛行の日時は日本時間で入力する仕組みになっており、METAR・TAF の原文は UTC(Z)表記のまま、その下の「METAR&TAF の帯」は日本時間で描画されます。プランの用紙に書き写すときは UTC への換算を忘れないでください。
「航空情報」のタブでは、出発・経路・到着と VFR・IFR の別を入れると、空港の AD 2(AD 2.1〜2.23 の原文切り抜きと日本語訳)、AD 2.24 の図(Visual REP の図を含む)、さらに経路の線から両側 25NM 以内にある ENR 5(航行上の警告)を地図と一覧で参照できます。関連する改正や補足版(SUP)、サーキュラー(AIC)も AI が判断して表示します。画面には参照している AIP の版が明示されますが、最新版でない場合もあるため、運航前には必ず SWIM portal で最新の AIP とノータムを確認してください。また、「時間計算」のタブには時と分のまま足し算・引き算ができる電卓があり、区間ごとの所要時間を合計して第16項の EET を求めるときなどに便利です。
参考にした資料
- 国土交通省航空局「AIP Japan」ENR 1.10 飛行計画、ENR 1.11 飛行計画通報の宛先、ENR 1.1・ENR 1.9・ENR 3.5、AD 2(RJOB・RJOT)(2026年9月3日版を確認。最新版は SWIM portal で閲覧)
- e-Gov 法令検索「航空法」(第97条 飛行計画及びその承認、第98条 到着の通知)
- 国土交通省航空局「航空局からのお知らせ」No.108(令和8年1月27日配信。SWIM による情報サービスの開始と SAT サービスの終了)
- ICAO「Procedures for Air Navigation Services – Air Traffic Management(Doc 4444)」
この記事は資料の見方の説明です。運航の可否は、必ず公式の情報を確認のうえ機長が判断してください。
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