METAR の読み方
METAR(メター)は、空港で観測した風・視程・天気・雲・気温・気圧を、決まった順番の略語で並べた実況の通報です。出発前に「いま空港がどうなっているか」を確かめるための、いちばん新しい観測資料になります。日本の METAR は気象庁の「航空気象通報式」に従って作られており、この記事では、出確くんが取得した岡山空港(RJOB)の実際の電文を例に、頭から1語ずつ読んでいきます。
METAR と SPECI
この通報式では、決まった時刻に行う定時観測の通報を METAR、天気が大きく変わったときに行う特別観測の通報を SPECI と呼びます。電文の書き方はどちらも同じです。定時観測の間隔は空港によって異なり、たとえば中部国際空港では毎正時と毎30分に発表されます。
SPECI を出す基準は、通報式の付録「特別観測の実施基準」にまとめられています。BKN・OVC の最も低い雲の高さや卓越視程が基準の値(1,000ft や 5,000m など)をまたいだとき、雷電や並・強の降水が始まったり終わったりしたとき、平均風向や風速が大きく変わったときなどが対象です。SPECI の日時は、変化が起きて電文を作り終えた時刻を表します。
SPECI RJFO 180018Z 05019G29KT 9999 SHRA SCT005 BKN010 BKN025 25/23 Q0996 RMK 3CU005 6CU010 7CU025 A2942
(気象庁「航空気象通報式」に載っている通報例。実際の観測ではありません)
SPECI が続けて出ているときは、空港の天気が動いているしるしであることが分かります。
電文の並びを実例で読む
次は、出確くんが 2026年10月19日10時37分(日本時間)に取得した、岡山空港の最新の METAR です。
METAR RJOB 190100Z 06003KT 350V130 9999 FEW020 BKN060 BKN/// 24/19 Q1021
| 部分 | 意味 |
|---|---|
| METAR | 定時観測の通報(特別観測なら SPECI) |
| RJOB | ICAO の4文字の地点略号。RJOB は岡山空港 |
| 190100Z | 観測した日と時分。Z は UTC(協定世界時)のしるし。19日01時00分 UTC は、9時間足して日本時間19日10時 |
| 06003KT | 風。観測前10分間の平均で、風向 060°(真方位)・風速 3kt。静穏は 00000KT、風向が定まらないときは VRB |
| 350V130 | 風向の変動の幅。平均風速 3kt 以上で、風向が 60°以上 180°未満の幅で変わったとき、時計回りに両端を書く |
| 9999 | 卓越視程。10km 以上は 9999。5,000m までは 100m 刻み、それ以上は 1,000m 刻み |
| FEW020 | 雲量と雲底の高さ。1〜2オクタ(8分の1〜2)の雲が 2,000ft |
| BKN060 | 5〜7オクタの雲が 6,000ft |
| BKN/// | 5〜7オクタの雲で、雲底の高さが不明か観測できないもの |
| 24/19 | 気温 24℃・露点温度 19℃。0℃未満は M を付ける(M02 は −2℃) |
| Q1021 | QNH 1021hPa(小数点以下は切り捨て) |
雲量は FEW(1〜2オクタ)、SCT(3〜4)、BKN(5〜7)、OVC(8)の4段階で、雲底の高さは3けたの数字を100倍した ft で読みます。雲は低いものから順に、ふつうは3群まで書かれます。
この岡山空港の電文には付いていませんが、気象庁の通報式では、本文の後ろに RMK で始まる国内記事が続きます。ここには8分雲量と雲形(たとえば 3ST003 なら 3/8 の層雲が 300ft)、inHg の QNH、方向別の視程、パイロットからの報告、積乱雲の位置や移動などが記されます。国内記事は国内だけに通報する決まりのため、NOAA Aviation Weather Center 経由で取得している出確くんの電文には RMK が入りません。
RVR・天気・雲の書き方
視程が悪いときや雲が多いときには、先ほどの電文にはなかった群が加わります。気象庁の通報式に載っている説明用の通報例で見てみます。
METAR RJTT 300000Z 31015G27KT 280V350 1500 R34L/0600VP1800U R22/0500V1400U R34R/P1800N BR SCT003 BKN006 BKN020 FEW020CB 02/01 Q1000 WS R34R NOSIG RMK …
風の 31015G27KT は、平均 15kt に対して最大瞬間風速が 27kt あったことを表しており、最大瞬間風速が平均を 10kt 以上上回ったときに G が付きます。視程 1500 の後ろにある R34L/0600VP1800U は滑走路 34L の RVR(滑走路視距離)で、視程が 1,500m 以下のときなどに書かれます。この例は変動が大きいため、1分間平均の最小 600m と最大(P1800 は 1,800m を超える)を並べてあり、末尾の U は上昇傾向を表します(下降は D、変化なしは N)。
雲の群の最後にある FEW020CB のように、「重要な対流雲」である CB(積乱雲)や TCU(塔状積雲)があるときは雲の群のあとにその略語を付け、この雲があるときは4群目まで書けます。QNH のあとの WS R34R は、滑走路 34R の離着陸路で低層のウィンドシアーが報告されたことを示します。その次の NOSIG は一部の空港の METAR に付く着陸用飛行場予報(TREND)で、重要な変化が予想されないという意味です。
雲や視程の書き方には、ほかにもいくつか種類があります。よく見かける CAVOK は、視程 10km 以上、5,000ft(または最低扇形別高度の最大値の高いほう)未満に雲がなく、CB・TCU もなく、天気略語表の現象もないときに、視程・天気・雲の群の代わりに書かれる略語です(通報式の通報例:METAR RJEB 300000Z 09007KT 050V120 CAVOK 20/15 Q1004)。同じ高さ未満に雲がなく CB・TCU もないものの、視程が 10km 未満などで CAVOK が当てはまらないときには NSC を使います。反対に、霧などで空が見えないときは鉛直視程の VV が入り、たとえば説明用の例にある 0100 FG VV001 なら視程 100m の霧で鉛直視程 100ft、分からないときは VV/// となります。
また、人の手を介さない自動観測の電文には AUTO が付き、観測できない要素は斜線(////、//、/// など)になります。
よく出る天気の略語
天気は「強さ+特性+現象」を組み合わせて書きます。強さは − が弱、記号なしが並、+ が強を表します。
| 略語 | 意味(気象庁の天気略語表から) |
|---|---|
| −RA / RA / +RA | 弱い雨 / 雨 / 強い雨 |
| SHRA | しゅう雨性の雨 |
| DZ | 霧雨 |
| SN / SHSN | 雪 / しゅう雨性の雪 |
| TS / TSRA | 雷電 / 雨を伴う雷電 |
| GR / GS | ひょう / 氷あられ・雪あられ |
| FZRA | 着氷性の雨 |
| BR | もや(視程 1,000m 以上 5,000m 以下) |
| FG | 霧(視程 1,000m 未満) |
| BCFG / MIFG | 散在する霧 / 地霧 |
| HZ | 煙霧(視程 5,000m 以下) |
| VCSH | 飛行場の周辺(標点から概ね 8〜16km)のしゅう雨性の降水 |
| SQ | スコール |
| VA | 火山灰(降灰を含む) |
QNH と VMC/IMC の目安
日本の METAR 本文にある QNH は、Q に続く4けたの hPa です。国内記事には、同じ QNH を inHg に直した値が A に続く4けたで入ります(A2992 なら 29.92inHg)。1inHg は約 33.86hPa なので、先ほどの Q1021 はおよそ 30.15inHg にあたります。
航空法施行規則第5条第4号では、管制圏・情報圏内の空港等で離着陸する航空機の有視界気象状態を、地上視程 5,000m 以上・雲高 300m 以上(告示で指定された空港等では 8,000m・450m)と定めています。
出確くんでは METAR・TAF を色分けする際、地上視程 5,000m 以上で、かつ BKN・OVC(と VV)の最も低い雲が 1,000ft 以上であれば VMC、視程が 5,000m 未満か、1,000ft 未満に BKN・OVC(VV)があれば IMC という目安を使っています。視程や雲が「不明」で決まらないときは「判定できません」と書きます。
岡山空港の電文 9999 FEW020 BKN060 BKN/// を見ると、視程は 10km 以上、最も低い BKN は 6,000ft なので VMC です。末尾の BKN/// のように、雲の群の最後に書かれた高さ不明の BKN・OVC は、出確くんでは高い雲として扱い、その旨を訳に書き添えています。なお、この判定は視程と雲の高さだけで決めた目安であり、雲からの距離や飛行視程は見ていません。
出確くんで見るには

ブリーフィングの「METAR/TAF」の項には、最新の METAR の原文、TAF の原文、時刻ごとの視程・シーリングを色で示した「METAR&TAF」の帯、畳んだ日本語訳の順に並びます。帯の時刻は日本時間で、左端にある最新の METAR は観測から1時間その天気が続くものとして描かれており、押すと原文と訳が出ます。この図では、10時の METAR が VMC(緑)になっていて、「現在 10時37分」の青い線がその中に入っています。
AI を使わずに METAR/TAF だけを見たいときは、ページ下の「METAR/TAF のみ見たい方はこちら」に空港名や4レター・3レターコードを入れると、同じ欄だけが表示されます。
参考にした資料
- 気象庁「航空気象通報式」第3版(第17号、令和7年8月7日)
- 気象庁 中部航空地方気象台「提供している情報」(METAR/SPECI・TAF の解説)
- 気象庁「航空気象情報」
- e-Gov 法令検索「航空法施行規則」(第5条)
この記事は資料の見方の説明です。運航の可否は、必ず公式の情報を確認のうえ機長が判断してください。
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