TAF の読み方(TEMPO・BECMG・FM)
TAF(タフ)は、空港とその周辺で風・視程・天気・雲がこの先どう変化するかを略語で示した「運航用飛行場予報」です。実況を伝える METAR が「いま」の資料なら、TAF は「これから」を読むための資料であり、到着予定時刻の気象条件や代替空港を検討するときの土台になります。この記事では、出確くんが取得した岡山空港(RJOB)の実際の TAF を使って読み方を整理します。
TAF の電文の並び
以下は、2026年10月19日10時37分(日本時間)に出確くんが取得した岡山空港の TAF です。出確くんの画面と同じく、変化群ごとに改行しています。
TAF RJOB 182305Z 1900/2006 07006KT 6000 -SHRA FEW005 SCT008 BKN020
TEMPO 1903/1906 4000 SHRA BR FEW003 SCT005 BKN008
TEMPO 1906/1909 2000 SHRA BR BCFG FEW000 SCT003 BKN005
TEMPO 1909/1915 3000 BR BCFG FEW000 SCT003 BKN005
TEMPO 1915/2003 4000 -SHRA BR FEW003 SCT005 BKN008
BECMG 2000/2003 20006KT
1行目が予報期間を通じた基本の状態を表し、2行目以降にそこからの変化群が並びます。
| 部分 | 意味 |
|---|---|
| TAF | 運航用飛行場予報(修正は TAF AMD、訂正は TAF COR) |
| RJOB | 地点略号(岡山空港) |
| 182305Z | 電文の日時。18日23時05分 UTC=日本時間19日8時5分 |
| 1900/2006 | 有効期間。19日00時 UTC から20日06時 UTC まで |
| 07006KT | 風向 070°・風速 6kt |
| 6000 | 卓越視程 6,000m(10km 以上は 9999) |
| −SHRA | 弱いしゅう雨性の雨 |
| FEW005 SCT008 BKN020 | 雲。FEW が 500ft、SCT が 800ft、BKN が 2,000ft |
風・視程・天気・雲の表記は METAR とほぼ共通ですが、TAF ならではの決まりもあります。気象庁の通報式では、TAF に記載する雲は 5,000ft(または最低扇形別高度の最大値の高いほう)未満の雲と積乱雲(CB)に限られており、該当する雲がない場合は NSC を使います。また、重要な天気が終わる予報には NSW(Nil Significant Weather)が記されます。
有効期間と時刻の読み方
気象庁の各航空地方気象台の解説にあるとおり、TAF は 00・06・12・18 UTC の1日4回発表され、有効期間は発表時刻から30時間です。対象範囲は、飛行場の標点から半径おおむね 9km の円内の地上とその真上の空域で、通報式の規則により、発表後に予報が修正される場合は TAF AMD として出されます。
電文の時刻はすべて UTC で書かれているため、日本時間に直すには9時間を足します。上の例の有効期間 1900/2006 は、日本時間では19日9時から20日15時までの30時間にあたります。電文の日時(182305Z)が有効期間の開始時刻より少し前になっているのは、関西航空地方気象台の解説例(170505Z の電文で 1706/1812 が有効)と同じ形式です。
変化群の違い(BECMG・TEMPO・FM・PROB)
基本の状態から変わる見込みがあるときは変化群が書き足されます。変化群で触れられていない要素は、その前の状態がそのまま続きます。
BECMG(次第に変化)は、示された期間内に規則的に、あるいは期間内のある時刻に状態が変わり、その後は変化後の状態が続く予報です。期間は原則2時間以内、長くても4時間以内と定められています。例の BECMG 2000/2003 20006KT は、日本時間の20日9時〜12時のあいだに風が 200°・6kt へ変わり、その後もその風が続くことを示します。視程や天気、雲は書かれていないため、基本の 6000・−SHRA・雲がそのまま継続する扱いです。
TEMPO(一時的な変化)は、一時的な変動がときどき起こる予報で、1回の継続時間は1時間未満、合計しても示された期間の半分未満にとどまる場合に使われます。例の TEMPO 1903/1906 4000 SHRA BR FEW003 SCT005 BKN008 は、日本時間の19日12時〜15時に、一時的に視程 4,000m、しゅう雨ともや、雲が FEW 300ft・SCT 500ft・BKN 800ft になることがあるという意味です。なお、雲が変化する変化群では、変化しない雲も含めてすべての雲が記載されます。
一方、気象庁の型式にはないものの、国際的な TAF の型式(WMO の FM 51 TAF)で使われるのが FM(〜から)と PROB30・PROB40 です。FM は指定時刻を境にそれまでの状態をすべて置き換える変化群で、たとえば WMO の研修資料にある FM051230 15008KT 9999 BKN020 なら、5日12時30分 UTC から全体がこの内容に切り替わります。PROB30・PROB40 は 30% または 40% の確率を添える予報で、同資料には PROB30 1412/1414 0800 FG や、一時的な変化に確率を付けた PROB40 TEMPO 2923/3001 0500 FG が例示されています。PROB は BECMG や FM とは組み合わせない決まりです。
| 変化群 | 変化のしかた | 期間のあと |
|---|---|---|
| BECMG | 期間内に次第に(またはある時刻に)変わる | 変わった状態が続く |
| TEMPO | 一時的に変わり、元に戻る | 基本(または前)の状態 |
| FM | 示した時刻から全体が切り替わる | 新しい状態が続く |
| PROB30/40 | 確率付きで起こりうる | ― |
TX/TN と日本の TAF の特徴
国際的な TAF には、最高気温・最低気温とその発現日時を示す TX・TN の群が入ることもあります。WMO の研修資料の例 TX21/0812Z TN14/0805Z は、最高気温 21℃ が8日12時 UTC、最低気温 14℃ が8日05時 UTC という表記で、氷点下は TNM02 のように M を付けます。
気象庁の「航空気象通報式」で定められている変化群は BECMG と TEMPO の2つだけで、FM・PROB・TX/TN の群はありません。そのため、国内の TAF を読むうえでは BECMG と TEMPO の違いを押さえておけば十分で、FM・PROB・TX/TN は海外空港の TAF を見るときに登場します。
METAR と合わせて見るポイント
上の TAF と同じ時刻に取得した岡山空港の METAR は次の電文でした。
METAR RJOB 190100Z 06003KT 350V130 9999 FEW020 BKN060 BKN/// 24/19 Q1021
実用上まず確認したいのは、TAF の電文の日時と METAR の観測時刻(いずれも Z)を見て、古い電文を参照していないかという点です。そのうえで、いまの実況と TAF の該当時間帯を見比べます。この例では、日本時間19日10時(190100Z)の METAR は視程 10km 以上で天気の略語がないのに対し、TAF の基本状態は視程 6000・−SHRA となっています。こうした差があるときは、より新しい METAR・SPECI や TAF AMD が出ていないかを確かめます。
また、表記ルールの違いも念頭に置いておく必要があります。METAR にある BKN060(6,000ft)の雲が TAF に見当たらないのは、5,000ft 以上の雲を記載しないという TAF 側の決まりによるものです。あわせて、到着予定時刻に BECMG の期間や TEMPO が重なっていないか、関係する変化群を漏れなく拾います。今回の例では、19日12時から翌20日12時まで TEMPO が切れ目なく続いていました。
出確くんで見るには

ブリーフィング画面の「METAR/TAF」の項では、原文(METAR→TAF)の下に「METAR&TAF」の帯が表示されます。左端が最新の METAR(観測から1時間)で、その先は TAF の変化群の開始・終了時刻ごとに区切られ、すべて日本時間で表記されます。各区間は視程 5,000m 以上かつシーリング 1,000ft 以上を目安に VMC が緑、IMC が赤で色分けされ、区間の下に視程とシーリングが表示されます。TEMPO の区間はその状態の色で塗られ、「TEMPO」と記されます。上の図では19日12時〜15時が TEMPO による IMC(視程 4,000m・シーリング 800ft)となっており、この区間を押すと、該当する TEMPO の行と基本の行が原文・日本語訳ともに並んで表示されます。

帯が長い場合は横に動かして確認できます。上の図のように20日9時〜12時の区間を押すと、その時間帯に重なる TEMPO・BECMG・基本の3行が並び、続く20日12時〜15時は BECMG 変化後の状態として VMC で描かれます。なお、BECMG で変化している途中の区間は、変化の前後で条件の悪いほうの色が塗られます。飛行日時を入力すると帯の上に印が付き、TAF 原文でもその時刻にかかる変化群が色分けされます。
折りたたまれている日本語訳を開くと、変化群ごとの VMC/IMC 判定と、VMC/IMC の切り替わりのまとめを確認できます。ページ下部の「METAR/TAF のみ見たい方はこちら」を使えば、AI を介さずにこの欄だけを表示することも可能です。
参考にした資料
- 気象庁「航空気象通報式」第3版(第17号、令和7年8月7日)
- 気象庁 関西航空地方気象台「運航用飛行場予報(TAF)」
- 気象庁 中部航空地方気象台「提供している情報」(METAR/SPECI・TAF の解説)
- 気象庁「航空気象情報」
- WMO Education and Training「TAF」(研修資料、スペイン語)
この記事は資料の見方の説明です。運航の可否は、必ず公式の情報を確認のうえ機長が判断してください。
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